日本出版販売株式会社のプレスリリース
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■ランキング全体の傾向
近年、新型コロナウイルス感染症の拡大や不安定な世界情勢を背景に、「お金」「老後」など、生活に身近なテーマに関連する作品が注目を集めていた。それに対し、今回の上半期ベストセラーでは、ウィズコロナからアフターコロナに徐々に移行している影響か、上記の傾向が薄れ、娯楽として愉しむための作品、あるいは知的好奇心を満たすことのできる作品に注目が集まる結果となった。
加えてSNSからの反響でヒットに至った作品もランクインしている。Twitter、TikTok上で感想などをシェアする動きや、作品と連動したYouTube動画が話題となるなど、SNSがヒットのポイントとして存在感を増してきたことが見て取れた。
■ジャンル別の傾向
【総合】村上春樹が10年ぶりの上半期ベストセラー第1位!
総合では『街とその不確かな壁』が上半期ベストセラー第1位となった。村上春樹作品では2013年『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』以来、10年ぶりの上半期ベストセラー第1位となった。また、前作の長編『騎士団長殺し』から6年ぶりの書き下ろし長編となり、読者待望の作品となった。書店での大々的な展開を始め、発売日には多数のメディアで取り上げられたこともあり、人気がさらに加速。刊行から2か月足らずで上半期ベストセラー第1位となる快挙で、根強い村上春樹人気がうかがえる。
第2位は『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略』。2022年11月に発売したゲームの攻略本であり、ゲームのヒットに併せて売上を伸ばした。ポケモン関連では第12位に『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット 公式ガイドブック パルデア図鑑完成ガイド』がランクインした。
第3位は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』。メインターゲットである子どもだけでなく、大人の脳トレ本としての需要をとらえ幅広い読者層を獲得した。メディアで多数取り上げられたことも、売上増加に大きな影響を与えた。
ホラー作家でありYouTuberの雨穴によるホラー×ライトミステリー、『変な絵』『変な家』がそれぞれ第5位と第8位にランクイン。ウェブメディアの記事や Twitter、YouTubeをきっかけに話題となり、書籍化された異例の作品。「変な家」の動画は再生回数1,300万回を記録(2023年5月19日時点)。第18位の『20代で得た知見』は、TikTok上で読者がハッシュタグを付けて本書についてシェアするなど、SNSから話題となった作品が上位にランクインした。
第7位は『日本史を暴く』。歴史学者である磯田道史が教科書には書かれていない日本史の新説をまとめた1冊。誰もが知っている歴史上の人物の知られざるエピソードが満載で、新しい発見や学びが得られる。第9位の『バカと無知』はSNSでの誹謗中傷、差別問題、PTSDといった社会問題をテーマに、そこから見える人間の本性をあぶりだしている。歴史の裏側や人の深層心理をもっと知りたいという知的好奇心を満たす書籍がランクインした。
【単行本ビジネス】「人生」「時間」が注目トレンドに!
『人は話し方が 9 割』が2022年年間ベストセラーに続き第1 位をキープ、累計発行部数は 125万部となった(2023年5月31日時点)。第2位の『運動脳』は、数多くのメディアに取り上げられ、累計発行部数は27万部(2023年5月31日時点)を突破。
『限りある時間の使い方』が第3位、『我慢して生きるほど人生は長くない』が第8位にランクイン。コロナ禍ではリモートワークや不安定な世界情勢からコミュニケーションや資産形成に関心が集まっていたが、アフターコロナに向けて、自身の人生の残り時間や生きることへの関心が高まっていることがうかがえる。
【写真集】コムドット人気はいまだ健在!写真集が堂々の第1位に
男性 5 人組 YouTuber・コムドットの第2弾写真集『JOURNEY』が第1位となった。チャンネル登録者数 は414万人を超え(2023年5月20日現在)、2022年年間ベストセラー写真集ジャンル第1位を獲得した第1弾写真集に引き続き、コムドットの人気は健在。
第2位は『日向坂46 金村美玖1st写真集 羅針盤』。坂道シリーズの日向坂・櫻坂はメンバーの1st 写真集の発売が続いており、乃木坂46からは、最後の1期生であった秋元真夏の卒業記念写真集が第4位にランクインした。第3位には人気シリーズ第3弾『乃木撮 VOL.03』がランクイン。卒業メンバーの写真も多く掲載されており、ファンの注目を集めた。
【コミック】「呪術廻戦」が連覇!
2022年年間ベストセラーに続き、2023年上半期ベストセラーも「呪術廻戦」が第1位となった。2023年7月より待望のTVアニメ第2期の放送を控え、今後の勢いも期待できる。第3位の「SPY×FAMILY(11)」は、愛くるしいキャラクターの魅力がTVアニメ化で一気に拡散した。こちらも2023年10月にはTVアニメ第2期の放送が、また12月には劇場版公開も予定されており、さらなるヒットが期待できる。
第8位の「ブルーロック(22)」は、TVアニメ放映とサッカーW杯日本代表の活躍が追い風となり、シリーズを通して人気が拡大。キャラクターの人気も相まって、サッカー漫画の中でも女性ファンの比率が高いこともランクインを後押ししたといえる。
■日本出版販売は書籍・雑誌の全国への流通を担う出版販売会社(出版取次)です。
■弊社ベストセラー情報は、約3,000軒の書店様のPOS販売データを基に、全国の書店様での販売状況を総合的に勘案して作成しております。
■集計期間は2022年11月22日~2023年5月20日です。
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