異例の発売前コミカライズ、本日連載スタート!!7月12日発売、小田雅久仁『禍(わざわい)』。

株式会社新潮社のプレスリリース

 2021年、9年ぶりの単行本となる『残月記』で、2022年本屋大賞7位入賞を果たしたほか、第43回吉川英治文学新人賞と第43回日本SF大賞で、史上初の「W受賞」を達成。いま最も次回作を待望される作家、小田雅久仁さんの最新作『禍(わざわい)』を2023年7月12日に新潮社より刊行いたします。

 口、耳、目、肉、鼻、髪、肌……。今作はヒトの〈からだ〉をモチーフに、様々な技巧でありとあらゆる「恐怖」と「驚愕」を紡ぎ、豊穣な想像力と巧みな文章力で読み手を圧倒する、超傑作短編集です。

■異例の発売前コミカライズ連載スタート

 韓国と台湾で翻訳決定、豪華著名人からの推薦コメントが集まるなど、発売前から大注目の本書。本日6月27日より、異例の発売前コミカライズ連載を、くらげバンチにてスタートいたします。

 コミカライズ版は耳もぐり編を山本貴大、農場編をジヨンヌが担当。原作のもつ多彩な“異質さ”をご賞味いただくために、コミカライズでは2名の俊才に各1編ずつ担当していただきました。『耳もぐり』では、山本貴大先生の力強い筆致と淡々としながらもどこか不安を感じる画面構成で、日常に潜んでいるかもしれない怪異を、『農場』ではジヨンヌ先生の流麗な筆致と細やかな陰影で、一人の青年が非日常へと足を踏み入れていく様を、描きました。

 いずれの作品も目で見て楽しんでいただけるよう細部まで気を巡らせて作りましたので、原作未読の方も既読の方も、可視化された“不快”をぜひお楽しみいただければと思います。

URL:https://kuragebunch.com/episode/4856001361365679972

■原作・小田雅久仁氏コメント

小説を書くとき、つねに映像を思い浮かべながら執筆しておりますが、読者は読者でそれぞれに違った光景を思い浮かべているのだろうなとずっと想像してきました。しかしこのたび、コミカライズしていただいたことで、初めて読者の思い描く光景を目の当たりにすることができ、とても貴重な経験となりました。この漫画をきっかけに、小説にも手を伸ばし、それぞれの『禍』の世界を想像していただけたら幸いです。

■漫画・山本貴大氏、ジヨンヌ氏コメント

・山本貴大氏

お話を、漫画として面白く、お伝えできればと思っています

・ジヨンヌ氏

今回の作品を担当させていただくことができて、とても光栄で、とてもうきうきしています。原作の描く、現実と現実の狭間での異物な闇の出来事を、魅力的な味を引き出せして描けるように頑張ります!

コミカライズの第一弾は本書収録短編「耳もぐり」。日本国内の電子書籍書店では、原作「耳もぐり」を全文掲載した無料お試し特別版を配信中。新潮社HP特設サイトにも全文を無料公開しています。

*「耳もぐり」あらすじ

「俺はここにいると言ってるんだ。いないことになんかできねえよ」。恋人の百合子が失踪した。彼女が住むアパートを訪れた私は、〈隣人〉を名乗る男と遭遇する。そこで語られる、奇妙な話の数々。果たして、男が目撃した秘技〈耳もぐり〉とは、一体。

*【電子書籍】全文収録・無料お試し特別版

https://ebook.shinchosha.co.jp/book/E056841/

Kindle版:https://www.amazon.co.jp/dp/B0C3ZJ1P4Q/

*【新潮社HP】全文無料公開・試し読み https://www.shinchosha.co.jp/special/wazawai/

発売前から世界が注目、先行コミカライズ連載、豪華著名人からの推薦コメントと異例づくし。

7月12日の発売日まで、本書に関するニュースを続々解禁いたします。どうか、ご期待ください。

■著名人からの推薦コメント

いち早くお読みいただいた著名人からも熱いメッセージを頂戴しました。

・伊藤潤二(漫画家)

「禍」の悪夢の侵襲によって私は永遠の万華鏡の中に迷い込んだ。

小島秀夫(ゲームクリエイター)

文藝を侵食する異次元文学! 読者の身体に澱のように溜まる、艶かしい肉体感覚! クローネンバー

グ×伊藤潤二×安部公房?! この著者、まさしく文藝界の“禍”になる。 

・恩田陸(作家)

この想像力、極限。

■人間の〈からだ〉以上に不気味なものはない

作家デビュー後、はじめて執筆し、「小説新潮 2011年9月号」に掲載された短編が「耳」を題材にした怪奇小説であったことから本作品集の構想はスタートしました。そして、幾多の執筆と改稿を重ねること約10年、「これこそは自信を持って世に送り出せる」と著者自ら太鼓判押す七篇を精選し、このたびの刊行と相成りました。

 なぜ長年にわたり〈からだ〉というモチーフにこだわり続けたのか。小田さんは次のように語ります。

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 人間の〈からだ〉以上に不気味なものなど、この世に存在しません。「怪奇」という概念は、人間が他人の死体を目にし、死への恐怖を知った瞬間に生まれたのではないでしょうか。〈からだ〉は生きて動くものでありながら、つねに〈死〉を孕んだものとして存在していると僕には思えます。誰でも、街行く人びとの顔の奥にひそむ無数の髑髏を想像したことがあるでしょう。人類の発祥以来、一千億の人間が生まれたという説を読んだ憶えがありますが、その数字の正確性はともかくとして、いま現在、生きている人間よりも、死んだ人間のほうが遥かに多いことは間違いありません。そう考えると、〈生〉は奇跡であり、〈死〉こそが常態であるという気づきが生まれます。〈からだ〉は〈生〉の象徴である以上に〈死〉の象徴でもあるわけです。そう考えれば、〈からだ〉ほど怪奇小説にふさわしいモチーフはないように思えます。そしてこのたび十年以上をかけてようやく一冊分を書きためることができました。

 ただ、今後も同じだけの熱量で書いてゆけるか、正直自信がありません。本書が僕の怪奇小説集の最高到達点を示すものなのか、あるいは最初の怪奇小説集に過ぎないものなのか、もちろん後者であることを望むわけですが、いまのところは、『禍』は紛れもなく怪奇小説における僕の全力です。

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■日常の「違和感」から恐怖を育ててゆく

 各話に共通して驚かされるのが、なによりもその「想像力」の豊かさです。生々しくも鬱々とした都市生活者の日常から一転。突如、〈からだ〉に巻き起こる変異を通じて、超常的かつ怒濤の展開へと跳躍していく様は、ある種の爽快感すら抱かせ、緻密な心理描写が独特のグルーヴ感を生み出すことで、唯一無二の世界を構築します。果たして、そのイマジネーションの源泉はどこにあるのか。

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 たとえば「髪」をモチーフにした作品の場合。子供の頃に風呂場で母親に髪を切ってもらっていたのですが、つねづね切り落とされた髪は気持ちが悪いと感じていた、という経験が発想の原点にあります。他にも、もしも「鼻」を削がれてしまったら、という恐怖。目という感覚器に対する違和感……。日ごろ抱えている〈からだ〉にまつわる生理的な嫌悪感や違和感を種に、物語を育ててゆきました。

 また、視覚的な表現力においては、小説は映像作品に大きく劣りますが、言葉によって心の動きを追うときには、力を発揮します。小説だからこそ表現できることは何か、という問題については、僕もつねづね思い悩んでおりますが、小説という手法で「怪奇」を描くことに意義を求めるならば、まずは登場人物の「驚愕」を丁寧に言葉にしてゆくということになろうかと思い、本作品集を執筆するうえで、こだわり続けた点でもありました。

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■著者紹介:小田雅久仁(オダ マサクニ) 

1974年宮城県生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。2009年『増大派に告ぐ』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。13年、受賞後第一作の『本にだって雄と雌があります』で第3回Twitter文学賞国内編第1位。2021年に9年ぶりとなる単行本『残月記』を刊行し、43回吉川英治文学新人賞受賞、2022年本屋大賞7位入賞、第43回日本SF大賞受賞を果たす。

■書籍内容

「俺はここにいると言ってるんだ。いないことになんかできねえよ――」。

 恋人の百合子が失踪した。彼女が住むアパートを訪れた私は、〈隣人〉を名乗る男と遭遇する。そこで語られる、奇妙な話の数々。果たして、男が目撃した秘技〈耳もぐり〉とは、何なのか (「耳もぐり」)。とある便所。女は、本を貪り食っていた。女が残した言葉に導かれるように、家の蔵書に手を伸ばした男が視る光景とは――(「食書」)。ほか、読み手の五感を侵蝕する神がかりな全七篇を収録。

■書籍概要

【タイトル】禍(わざわい)

【著者名】小田 雅久仁

【判型】四六判(320ページ)

【定価】1,870円(税込)

【発売日】2023年7月12日

【ISBN】978-410-319723-2

【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/319723/

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