世界中から待望の声、続々…小田雅久仁『禍(わざわい)』7月12日発売!予約注文殺到で、発売前重版決定!

株式会社新潮社のプレスリリース

2021年、9年ぶりの単行本となる『残月記』で、2022年本屋大賞7位入賞を果たしたほか、第43回吉川英治文学新人賞と第43回日本SF大賞で、史上初の「W受賞」を達成。いま最も次回作を待望される作家、小田雅久仁さんの最新作『禍(わざわい)』を2023年7月12日に新潮社より刊行いたします。

口、耳、目、肉、鼻、髪、肌……。今作はヒトの〈からだ〉をモチーフに、様々な技巧でありとあらゆる「恐怖」と「驚愕」を紡ぎ、豊穣な想像力と巧みな文章力で読み手を圧倒する、超傑作短編集です。

海外翻訳決定、先行コミカライズ連載、豪華著名人からの推薦コメントと大注目を集める本書に予約注文が殺到、このたび発売前重版が決定いたしました。

日本版カバー日本版カバー

■台湾ホラーの気鋭2名から推薦コメント到着!

 待望の声が続々と寄せられる本書は世界からもオファーが相次ぎ、すでに複数言語での翻訳版刊行が決定しています。このたび、2022年Netflixで世界的ヒットとなった『呪詛』監督ケヴィン・コー氏、2018年台湾で大ブレイクした『縄の呪い』監督リャオ・シー・ハン氏、台湾ホラー気鋭の2名から本書への推薦コメントが到着しました。

「凄まじい。読み進むほどに作者と心が溶け合い、離れられなくなる驚異的な作品だ。」――『呪詛』監督ケヴィン・コー

「恐怖は極めて個人的で密かな体験だ。『禍』を読んで、何度も眠れぬ夜を過ごし、心の奥深くに秘めた恐怖が再び呼び覚まされるようだった。」――『縄の呪い(原題:粽邪)』『縄の呪い2』監督リャオ・シー・ハン

 

国内での発売に先行して、海外の著名人から推薦コメントが寄せられるのは極めて異例で、本書の紡ぐ“恐怖”と“驚愕”が世界で注目を集めていることを示しています。

 台湾と韓国では、電子版一部先行配信がスタート。先行配信の対象となっている、本書収録短編「耳もぐり」は日本国内の電子書籍書店でも、全文掲載した無料お試し特別版を配信中。新潮社HP特設サイトにも全文を無料公開しています。

『禍』翻訳先行配信 左)台湾版/木馬文化事業股份有限公司、右)韓国版/SIGONGSA Co.,Ltd.『禍』翻訳先行配信 左)台湾版/木馬文化事業股份有限公司、右)韓国版/SIGONGSA Co.,Ltd.

*「耳もぐり」あらすじ

「俺はここにいると言ってるんだ。いないことになんかで

きねえよ」。恋人の百合子が失踪した。彼女が住むアパー

トを訪れた私は、〈隣人〉を名乗る男と遭遇する。そこで

語られる、奇妙な話の数々。果たして、男が目撃した秘技

〈耳もぐり〉とは、一体。

*【電子書籍】全文収録・無料お試し特別版

https://ebook.shinchosha.co.jp/book/E056841/

Kindle版:https://www.amazon.co.jp/dp/B0C3ZJ1P4Q/

*【新潮社HP】全文無料公開・試し読み

https://www.shinchosha.co.jp/special/wazawai/

■台湾、韓国の出版社からもコメント到着!

 こんなに引き込まれ、抵抗できない本に出会うのは久しぶりだ。まるで悪魔のような魅力に満ちている。小田雅久仁の筆から、現実と狂想が絢爛たる絵巻となって交錯する。各篇はまるで煌めく宝石のようで、驚きと恐怖の光を放ち、次に何が起こるか予測不可能だ。作者の表現技法と無尽蔵の想像力により、疑いなく『禍』は彼の代表作の一つとなるだろう。

 この度、弊社がこの「やばい」小説を台湾の読者に紹介できることを光栄に思う。近年、台湾では映画や小説の創作において、恐怖や怪奇のテーマが盛んだ。怪奇小説の愛好者であれ、人間の深層を探求する読者であれ、この本で確かな喜びと驚きを見つけることができると信じている。

――台湾 木馬文化(ECUS PUBLISHING HOUSE) 編集長 戴偉傑

 奇妙な物語が好きだ。限りなく明るくて愉快な物語よりは、美しいが、どこか自分の中の暗くて湿った部分に触れる物語に引かれる。『禍』を紹介してもらった時、この本がまさにそのような本だと直感した。果てしない想像力、現実・非現実の境界を巧みに崩す卓越した筆力、幻想と妄想を通じて欲望や不安、嫌悪といった人間の深淵の原初的感情を水面上に押し上げる物語で、小田雅久仁という作家が、一作一作慎重に自分の以前の高点を突破していることが確認できた。

 耳、鼻、口、手、髪の毛、男女の裸身まで人間の多様な身体部位のモチーフは、生と死の表象であり、快楽と苦痛の源泉であり、美しさと嫌悪感という正反対の感覚を呼び起こす。私たちの「体」にまつわる物語は、終始ぞっとして不気味だが、決して手放すことはできない強烈な読書経験を抱かせる。    

面白く新しい物語にいつも渇望する韓国の読者に、このような作品を紹介できることを嬉しく思う。是非、日本の読者の皆様に少し先に楽しんでいただき、豊かな話題をたくさん伝えてほしい。

――韓国 SIGONGSA CO.,Ltd.(時空社) 文学チーム チーム長 朴ゴウン

日本語訳/Shinwon Agency 裵貞娥(ペ・ジョンア)

■先行コミカライズ6月27日スタート

6月27日より、第一弾「耳もぐり」の連載がWEBマンガサイト「くらげバンチ」にてスタート。

『禍』コミカライズ第一弾「耳もぐり」より『禍』コミカライズ第一弾「耳もぐり」より

■著名人からの推薦コメント

いち早くお読みいただいた著名人からも熱いメッセージを頂戴しました。

・「禍」の悪夢の侵襲によって私は永遠の万華鏡の中に迷い込んだ。 ――伊藤潤二(漫画家)

・文藝を侵食する異次元文学! 読者の身体に澱のように溜まる、艶かしい肉体感覚! クローネンバー

グ×伊藤潤二×安部公房?! この著者、まさしく文藝界の“禍”になる。 

――小島秀夫(ゲームクリエイター)

・この想像力、極限。 ――恩田陸(作家)

 

■人間の〈からだ〉以上に不気味なものはない

 作家デビュー後、はじめて執筆し、「小説新潮 2011年9月号」に掲載された短編が「耳」を題材にした怪奇小説であったことから本作品集の構想はスタートしました。そして、幾多の執筆と改稿を重ねること約10年、「これこそは自信を持って世に送り出せる」と著者自ら太鼓判押す七篇を精選し、このたびの刊行と相成りました。

 なぜ長年にわたり〈からだ〉というモチーフにこだわり続けたのか。小田さんは次のように語ります。

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 人間の〈からだ〉以上に不気味なものなど、この世に存在しません。「怪奇」という概念は、人間が他人の死体を目にし、死への恐怖を知った瞬間に生まれたのではないでしょうか。〈からだ〉は生きて動くものでありながら、つねに〈死〉を孕んだものとして存在していると僕には思えます。誰でも、街行く人びとの顔の奥にひそむ無数の髑髏を想像したことがあるでしょう。人類の発祥以来、一千億の人間が生まれたという説を読んだ憶えがありますが、その数字の正確性はともかくとして、いま現在、生きている人間よりも、死んだ人間のほうが遥かに多いことは間違いありません。そう考えると、〈生〉は奇跡であり、〈死〉こそが常態であるという気づきが生まれます。〈からだ〉は〈生〉の象徴である以上に〈死〉の象徴でもあるわけです。そう考えれば、〈からだ〉ほど怪奇小説にふさわしいモチーフはないように思えます。そしてこのたび十年以上をかけてようやく一冊分を書きためることができました。

 ただ、今後も同じだけの熱量で書いてゆけるか、正直自信がありません。本書が僕の怪奇小説集の最高到達点を示すものなのか、あるいは最初の怪奇小説集に過ぎないものなのか、もちろん後者であることを望むわけですが、いまのところは、『禍』は紛れもなく怪奇小説における僕の全力です。 

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■日常の「違和感」から恐怖を育ててゆく

 各話に共通して驚かされるのが、なによりもその「想像力」の豊かさです。生々しくも鬱々とした都市生活者の日常から一転。突如、〈からだ〉に巻き起こる変異を通じて、超常的かつ怒濤の展開へと跳躍していく様は、ある種の爽快感すら抱かせ、緻密な心理描写が独特のグルーヴ感を生み出すことで、唯一無二の世界を構築します。果たして、そのイマジネーションの源泉はどこにあるのか。

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 たとえば「髪」をモチーフにした作品の場合。子供の頃に風呂場で母親に髪を切ってもらっていたのですが、つねづね切り落とされた髪は気持ちが悪いと感じていた、という経験が発想の原点にあります。他にも、もしも「鼻」を削がれてしまったら、という恐怖。目という感覚器に対する違和感……。日ごろ抱えている〈からだ〉にまつわる生理的な嫌悪感や違和感を種に、物語を育ててゆきました。

 また、視覚的な表現力においては、小説は映像作品に大きく劣りますが、言葉によって心の動きを追うときには、力を発揮します。小説だからこそ表現できることは何か、という問題については、僕もつねづね思い悩んでおりますが、小説という手法で「怪奇」を描くことに意義を求めるならば、まずは登場人物の「驚愕」を丁寧に言葉にしてゆくということになろうかと思い、本作品集を執筆するうえで、こだわり続けた点でもありました。

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■著者紹介:小田雅久仁(オダ マサクニ) 

1974年宮城県生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。2009年『増大派に告ぐ』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。13年、受賞後第一作の『本にだって雄と雌があります』で第3回Twitter文学賞国内編第1位。2021年に9年ぶりとなる単行本『残月記』を刊行し、43回吉川英治文学新人賞受賞、2022年本屋大賞7位入賞、第43回日本SF大賞受賞を果たす。

■書籍内容
「俺はここにいると言ってるんだ。いないことになんかできねえよ――」。恋人の百合子が失踪した。彼女が住むアパートを訪れた私は、〈隣人〉を名乗る男と遭遇する。そこで語られる、奇妙な話の数々。果たして、男が目撃した秘技〈耳もぐり〉とは、何なのか (「耳もぐり」)。とある便所。女は、本を貪り食っていた。女が残した言葉に導かれるように、家の蔵書に手を伸ばした男が視る光景とは――(「食書」)。ほか、読み手の五感を侵蝕する神がかりな全七篇を収録。

■書籍概要
【タイトル】禍(わざわい)
【著者名】小田 雅久仁
【判型】四六判(320ページ)
【定価】1,870円(税込)
【発売日】2023年7月12日
【ISBN】978-410-319723-2

【URL】https://www.shinchosha.co.jp/special/wazawai/

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