「ピュアモデルAI(作家本人の絵柄のみを学習させたAI)」を使ったマンガ制作の取り組みに関する続報
エンドルフィン株式会社のプレスリリース
エンドルフィン株式会社(本社:東京都港区、代表:張鉉洙)は2024年4月2日、
PR TIMESにおいて『漫画家の著作権を守るAI』(制作工程の一部にピュアモデルAIを使用したマンガ制作の取り組み)に関する発表を行いました。
おかげさまで発表以来、ピュアモデルAIや漫画制作へのAI活用に関する多くのお問い合わせ、反響を頂戴しており、 生成AIに対する関心の高さを関係者一同、実感しております。
一方で、私たちの意図していない伝わり方をしている状況も一部見受けられましたため、
私たちエンドルフィン株式会社および株式会社SUPERNGINEが提供する技術サービスの補足、そして私たち関係者がこの取り組みへのチャレンジに至った経緯について、正しくお伝えしていくことを目的に、この度、続報を発表させていただく運びとなりました。
■マンガ制作に活用した「ピュアモデルAI」の2つのポイント
「ピュアモデルAIを活用したマンガ」の制作プロセスに関するポイントは2つです。
【1点目】作家本人のオリジナルデータのみを活用し制作したモデルで画像をOutput(出力)する仕組み
「AI×著作権」といえば、最近インターネットの記事や判例などで頻繁に目にする「Stable Diffusion」、「LoRA(学習方式)」を使い汎用モデルとマージして簡単に画像を生成する方法を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかしながら、私たちが提供しているサービスは、公開されている汎用モデルを活用した生成AIとは一線を画しています。
この画像は植物>花>桜のように、取り込んだ画像とキャプション(Label)とを結びつけ、データマッチングを進める(基本的な情報として学習させる)過程でStable Diffusionを活用しているのは事実ですが、有効な作家データの生成から完成モデルとして出力するまでのプロセスが、既存の汎用モデルの制作方法とは異なります。
特許出願中のため、現時点でこれ以上の詳細をお伝えすることは叶いませんが、一般的に知られている汎用モデルとミックスする方法では、著作権侵害のリスクを払拭できないと私たちは判断しました。
そこでその課題解決のため、汎用性の高いデータは排除し、 必要な使用先にのみ限定して「制限された画像」を生成する独自の学習プロセスを確立しました。
作家「らしさ」を表現するために「特徴的かつユニークな」データだけを学習させることで、作家固有の絵柄やスタイルを具現する「ターゲット型画像生成モデル」を作る方法です。(汎用性の高いデータを作り出すことが目的ではないため、何千何億もの膨大なデータを必要としません。)
これが私たちの定義する一人の作家のための「ピュアモデルAI」です。
【2点目】学習データは日々成長中!
【1点目】でお伝えした通り、作家本人の画のみを学習させているため、ご本人が描いたことのない画は生成ができなかったり、精度が低く出力される現象が発生します。
その度にリテイク(サンプル生成やデータのプリプロダクション)を重ね、作家自身がOKを出した画だけを使って学習データを育てていくファインチューニングプロセスを設けています。
これが「オーダーメイド型のAIサービス」と定義している所以ですが、だからこそ、今この時点では一般的な生成AIと比較すると、「泥臭く」「手間のかかる」状態。
生成AIの導入によってもたらされる(とされる)「短時間・低コスト」のイメージとは乖離があるのが現状です。
もちろん学習が進めば、「作家自身のクセや特長を深く理解するアシスタント」として、制作工程の高速化・クオリティ向上・低予算化を実現する心強い味方となってくれる、今まさに進化中のサービスです。
■なぜこのチャレンジを決めたのか ~私たちの描く構想と想い~
AIに対する否定的な論調も見られる中、業界の流れは今後徐々にAI活用に動いていくものと想定しています。
そこで私たちは、絵柄の盗用を防ぎ「著作権と作品の命を守ること」はもちろん、制作時の有用なツール(選択肢)の一つとして、適切にAIを活用していく可能性を提言し、作家も産業も豊かに育つ未来を創っていきたいと考えています。
また、前段の通り、私たちが創り上げようとしているピュアモデルAIは、伸びしろが大きく急成長中のサービスである一方、作家自身の負担も大きいため、里中満智子先生、倉田よしみ先生とは何度も何度も意見交換や認識のすり合わせを行い、作品制作のプロセスを進めて参りました。
新しい流れを生み出す際に苦労が伴うのは当たり前のこと、それよりも「マンガの未来、そして何より、業界の未来を背負う漫画家の皆さんのために、新しい道を示していきたい」という、関係者全員の真摯な想いが一致したことによって、このチャレンジが本格的に始まりました。
私たちは今後も、正しい情報と適正なサービスの提供を通じて「新しいマンガの世界」を創っていくことに邁進して参ります。
是非、このチャレンジを応援していただけますと有難いです。
■エンドルフィン株式会社について
『感動を創り出し、巡らせる!』をミッションに掲げ活動する、「WEBTOON」(フルカラー/縦スクロール漫画)の制作スタジオです。
韓国発祥のWEBTOONは、現在、世界的なヒット作が続々と登場し、世界中で注目を集めています。日本でも2021年以降、企業の参入が相次ぎ、目覚ましい動きを見せている中、当社は設立当初よりその市場性に着目し、市場開拓と制作に力を入れ事業を展開して参りました。
また、作業効率と品質の向上、そしてクリエイター人生を豊かにする「分業制」をいち早く確立させ、世界中の読者から愛される作品を多数発表し続けています。
「ヌリタス~偽りの花嫁~」「チュートリアルが死ぬほど難しい」「囚われ令嬢は絶対君主を手なずけてしまった」「契約職大公妃」等、ヒット多数。
『日常に幸せいっぱいのエンタメを』を合言葉に、デジタルコンテンツを通して感動を生み出し、メディアミックスやグローバル展開によって更なる感動へと繋げていくことに挑戦し続けています。
~社名(en-dolphin/エンドルフィン)に込めた想い~
【en】
作品制作にあたり出逢う作家や読者の皆様、そして働く仲間との間に生まれる”繋がり=ご縁”に感謝し、大切に。また、その一つひとつの「ご縁」を紡ぎ、共に成長していくことのできる会社になることを目指しています。
【dolphin】
仲間を大切にし、互いに助け合う「イルカ」のように、手を取り合い、力を合わせて、より良い作品づくりに取り組んでいく。その良好なチームワークこそが私たちエンドルフィンの強みです。
【エンドルフィン】
多幸感をもたらす脳内の神経伝達物質「endorphin」のように、日常に幸せいっぱいのエンタメを届けたい。「物語」を通して、世界中の人々に感動を届けることで社会に貢献できる会社を目指しています。
【会社概要】
社名:エンドルフィン株式会社
本社所在地:東京都港区芝浦3丁目6番5号Biz Feel 田町 7階
代表取締役:張鉉洙
事業内容: フルカラー・縦スクロールデジタル漫画「WEBTOON」の制作・販売
オリジナルデジタル漫画における作家の発掘から制作支援、作品制作編集
翻訳・ローカライズ、国内外有数の漫画配信プラットフォームへのリリース
設立: 2018年7月2日
HP:https://www.en-dolphin.com/
■株式会社SUPERNGINEについて
“絵柄の盗用を防がなければ、作家も産業も生き残れない!”
AIの時代に正しくAIを活用する企業のみが成功できるという信念をもとに、世界的にも優れた技術を用いてWEBTOON、ゲーム、バーチャル・アイドル、広告、グッズ制作などを展開する総合コンテンツ制作会社です。
作家が創作にのみ集中できるよう、AIを用いて時間とエネルギーのセーブを図りつつ、作家の利益を最大化できるようにOSMU (One Story Multi Use)も積極的に行っています。
【会社概要】
社名:株式会社SUPERNGINE
本社所在地:324, 54, Changeop-ro, Sujeong-gu, Seongnam-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
代表取締役:KIM DONGJUN
事業内容: ゲーム開発、生成型AIを活用した総合コンテンツ制作
設立:2020年4月24日
HP:https://www.superngine.com/
<本記事に関するお問い合わせ先>
エンドルフィン株式会社 広報担当:ai-info@en-dolphin.com