フランスで刊行され、大反響を呼んだバンド・デシネ日本語版。美麗な描線、迫力の大画面、ペンで描かれた長編映画。
河出書房新社のプレスリリース
映画『銀河鉄道999』『幻魔大戦』『メトロポリス』……日本を代表するアニメーション監督・りんたろうがフランスで発表した初の自伝漫画『1秒24コマのぼくの人生』が、12月2日に河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)より刊行されます。
■『1秒24コマのぼくの人生』と著者りんたろう
はるか昔の記憶を落ち穂拾いのようにかき集め、パズルのように組み合わせながら1コマ1コマ描きあげ、気づけば6年の歳月が経っていた……。(「あとがき」より)
フランスでは「アルバトール」の名でいまなお絶大な人気を誇る『宇宙海賊キャプテンハーロック』。
そのテレビアニメーションの演出を務めたりんたろうさんは、今年の初頭、6年の歳月を費やして描き下ろしたバンド・デシネ(フランス語圏における漫画の形態)『MA VIE EN 24 IMAGES PAR SECONDE』を発表、国内外で大きな話題となりました。
本書『1秒24コマのぼくの人生』はその日本語版。日本語版の編集にあたっては、著者自らが書き文字のオノマトペ(擬音語・擬態語)を日本語に書き改めるなど、きめ細やかな作業が行なわれました。
1941年に東京で生まれたりんたろうさんは疎開先で終戦を迎え、映画との運命的な出会いをします。
映画好きの父親の影響を受け、自作した幻燈機を用いて作品の上映会を行うほど、映画にのめりこんだ少年時代。映画監督になる夢を抱きながらの動画制作スタジオ勤務を経て、63年に日本初の連続テレビアニメーション『鉄腕アトム』(手塚治虫ひきいる虫プロダクション制作)で演出家としてデビュー。
79年には東映動画(現・東映アニメーション)が社運をかけて制作した劇場用アニメーション『銀河鉄道999』でついに映画監督を務め、大成功を収めます(同年の邦画興行収入第1位)。
その後も角川アニメ第1弾『幻魔大戦』、国際的にも評価の高い『メトロポリス』(手塚治虫原作、大友克洋脚本)など話題作・注目作を多数発表。
アニメーション監督・りんたろう自身の半生が描かれた本書は、貴重な戦後日本のアニメーション史でもあります。
一般の日本漫画では味わえない風合いと情調。美麗な描線、迫力の大画面、ペンで描かれた長編映画ともいうべき『1秒24コマのぼくの人生』をぜひお楽しみください。
■最新作『鼠小僧次郎吉』公開/本書刊行記念イベント+サイン会開催!
りんたろう監督の最新作公開と本書発売を記念して、サイン会が行なわれます。
現在、「りんたろうMEETS山中貞雄&りんたろう自選作品集」として、りんたろう監督最新作『鼠小僧次郎吉』がユーロスペースで公開中。
11月30日(土)、12月1日(日)の2日間は、上映後にりんたろう監督の舞台トークがあり、トーク後には劇場ロビーにて『1秒24コマのぼくの人生』の先行販売とともに、サイン会を行ないます。
りんたろう監督ファンの皆様は、この機会をぜひお見逃しなく!
【ユーロスペース「りんたろうMEETS山中貞雄&りんたろう自選作品集」の詳細】
■『1秒24コマのぼくの人生』へ寄せられたコメント等
りんたろう監督の少年時代、青年時代、壮年期とアニメーションの歴史とが交叉する様を描いたこの本を読んで、昭和無頼な先輩たちに感謝したいと思います。
――大友克洋(漫画家・アニメーション監督)
りんたろうは本書でアニメーション芸術に捧げた自身の人生を語っている。彼のキャリアそのものが日本のアニメーション史の一端を見事なまでに包含していることから、ひとつの日本アニメ史と言ってもいいだろう。
――エルヴェ・ドゥ゠ラ゠エ(アニメーション研究家)
「解説」より
バンド・デシネなのにマンガ的、マンガなのにバンド・デシネ的、という変わった本として興味を持たれ、そして何よりもバンド・デシネなのに映画的という高い評価を得ました。(略)その評価はアニメファンにとどまりませんでした。
――高橋晶子(日仏コーディネーター)
「本書をふりかえって」より
日本のアニメーションの巨匠が初めてバンド・デシネを描こうとしたのは、自身の半生を物語るためだった。戦後の日本から、2001年、映画『メトロポリス』公開までをめぐる比類なき旅が、いま始まる。出会い、チャンス、終わりなき夜、ジャズ、タバコ、そして何よりも映画に満ちあふれた旅が。幼い日より父から受け継いだ映画への情熱は、映画監督になることへのあこがれを芽生えさせた。その夢を実現する機会は、アニメーションによって訪れる。旅のもうひとりの重要人物は、手塚治虫。初のテレビアニメ『鉄腕アトム』を筆頭に、長年ともに仕事をすることになる。演出家となったりんたろうは、多くの作品を委ねられながら創造性を発揮して、日本のアニメーション史に欠かせない名作が次々と築き上げられていく――『佐武と市捕物控』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『銀河鉄道999』……。
いま日本のアニメーション映画が世界標準となっているならば、それはりんたろうに負うところ大である。
フランス語版表紙/内容紹介より
■『1秒24コマのぼくの人生』本文を一部紹介!
①太平洋戦争開戦、疎開先への途上
②中学生時代、自作の幻燈機で映写するため紙フィルムを制作
③1958年、東映動画入社、仕上検査部に配属
④1962年、虫プロ入社、“漫画の神様”手塚治虫との出会い
⑤大友克洋との対談をきっかけに、傑作長編アニメ『メトロポリス』が始動
■著者紹介
りんたろう RINTARO
1941年、東京生まれ。アニメーション監督。58年、東映動画(現・東映アニメーション)に入社。
62年、手塚治虫が設立した虫プロダクションに入社。日本初の30分TVアニメシリーズ『鉄腕アトム』の第26話「アトラスの巻」(63年6月25日放送)で演出家デビュー。『ジャングル大帝』でチーフディレクターに昇格、以後、『わんぱく探偵団』『佐武と市捕物控』『ムーミン』等の演出を務める。
72年、虫プロを退社。『ジェッターマルス』『アローエンブレム グランプリの鷹』『宇宙海賊キャプテンハーロック』等の演出を経て、79年、初の劇場長編監督作品『銀河鉄道999』が公開。
その他の主な監督作品に『さよなら銀河鉄道999』『幻魔大戦』『カムイの剣』『メトロポリス』『よなよなペンギン』他。
■書誌情報
書名:1秒24コマのぼくの人生
著者: りんたろう
仕様:A4判変形/上製/256ページ
発売⽇:2024年12⽉2日
税込定価:3,520円(本体3,200円)
ISBN:978-4-309-25784-6
装丁:木庭貴信+青木春香(OCTAVE)