NHKアニメで話題! 世界中が恋した永遠の名作『新訳 赤毛のアン』が本日発売

英文学研究の第一人者だから訳せた、文学少女としての『アン』。訳者あとがきで、アンが親しんだ文学作品についても徹底解説!

株式会社KADOKAWAのプレスリリース

株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、 代表取締役社長:夏野剛)は、 2025年3月22日(土)に、『新訳 赤毛のアン』(モンゴメリ 河合祥一郎=訳 角川文庫)を発売します。

 

本作は言わずと知れた、カナダの名作です。4月からNHK Eテレで放送されるアニメ「アン・シャーリー」(原作は村岡花子訳)を控え、新たに、英文学者で東大教授の河合祥一郎氏による新訳を刊行することになりました。

 

多くの出版社からたくさんの訳がでている『赤毛のアン』ですが、河合訳の最大の特徴は、「英文学研究の第一人者が訳した、文学少女としてのアン」です。以下に本書の魅力と河合訳の特徴についてくわしくご紹介します。

まずは未読の方のためにも、本書のあらすじについて。

<あらすじ>

偏屈な年寄り兄妹マシューとマリラは、孤児院から働き手として男の子を引き取ることに。なのにやってきたのは、赤毛でそばかすの少女アン。マリラはアンを追い返そうとするが、アンは号泣し…。自然豊かな美しい島を舞台に、夢見る少女が起こすおかしな騒動。そそっかしくて失敗ばかりのアンが感動をもたらします。泣いて笑ってキュンとする、世界中の少女が恋した名作を新訳・完訳で。アンが親しんだ英文学の徹底解説も掲載。

以下、実際に読んだ担当編集の感想です。

「主人公アンのキャラクターがたっていて、展開も早く、めちゃくちゃ面白いです。若いころに読むとアンの視点で読めて、こういう失敗したな……と自分の経験と重ね合わせて感情移入できます。大人になってから読むと、そのアンが愛おしくてしかたない、という親代わりのマリラの視点で楽しめます。アンにハートをわしづかみされているのに、そうとばれないように苦心しているマリラが愛おしくてしかたなくなり、こちらもハートをわしづかみにされます。アンもマリラも(マシューも)かわいい! またカナダのプリンス・エドワード島を舞台にしているのですが、自然の描写がともかく美しい! (それを訳しきった訳者の河合先生の腕もすごい!) ラストではめちゃくちゃ泣けるストーリーになっており、読後感は「これはすごい作品を読んだな…」となって胸がいっぱいになります。この1冊の完成度があまりに高いので、「作者のモンゴメリさんはよく続編を執筆できたなあ…」と編集者としても驚きます。」

つぎに、河合訳の特徴について。

●英文学研究の第一人者だから訳せた、文学少女としての『アン』

アンという少女のいちばんの魅力はその想像力ではないか、と河合氏は考えます。以下訳者あとがきより抜粋・編集。

独りで汽車に乗って知らない村へやってきて、来るはずの迎えの人が来ないとなれば、通常の人間なら心配で途方に暮れるだろうに、アンは、駅の近くの桜の木に登って一晩明かせば明日はきっとお迎えにきてくれるだろうと楽観視し、「月明かりに白いお花が浮かびあがる桜の木で眠るなんて」「大理石のお屋敷に住んでいるつもりになることだってできる」から「すてき」と夢見る――このロマンティックな想像力こそ、アンの本質と言えるのではないだろうか。

このロマンティックな想像力はアンの文学性にささえられたものであり、その基となるのが、アン、ひいては作者モンゴメリの英文学への愛と教養の深さです。

シェイクスピア研究の第一人者である河合氏だから、作品の細部にわたって描かれる、英文学への憧憬を理解し、余すことなく訳に反映させることで、ただ物語を追うだけでなく、原作の背景や時代性や本質をとらえた訳になっています。

なお、「訳者あとがき」では、アンが十一歳にしてすでに精通しているシェイクスピア作品を解説。『リア王』にはじまり『ロミオとジュリエット』『オセロー』『ハムレット』『ジュリアス・シーザー』『お気に召すまま』『尺には尺を』『マクベス』『終わりよければすべてよし』……と、なんと恐るべき十一歳! 英語圏の文学を楽しむには、シェイクスピアが必須の教養であることがよくわかります。そして、こういった事実を把握していないと、『赤毛のアン』を本当の意味で「読んだ」とは言えないのかも知れません。

すでに『赤毛のアン』を読んだ、という方も、はじめてという方も、ぜひ本書を手にとって、その文学性の視点から楽しんでいただきたいです。

また、河合訳の他の特徴についてもご紹介します。

●完訳&新訳

翻訳はすべての原文を訳している、と思われがちですが、児童向けの作品や、古い名作となると、ページ数をおさえるために、カットされている場合があります。そういった訳を「抄訳」といいますが、河合訳は一言一句すべて訳した「完訳(全訳)」で、かつ、「新訳」です。

●初出について。児童書から大人向けに改訂

2014年に角川つばさ文庫から、同訳者で児童書『新訳 赤毛のアン(上) 完全版』『新訳 赤毛のアン(下) 完全版』(こちらも完訳で新訳)が刊行されていますが、本書はそれらを大人向けに改訂したものになります。

ちなみに、続刊の『新訳 アンの青春』『新訳 アンの初恋』も角川文庫から、来月4月25日(金)に発売されます。

アニメ放送開始前に、ぜひとも角川文庫の「新訳 赤毛のアン」シリーズをお楽しみください。

『新訳 赤毛のアン』について

◆書誌情報

『新訳 赤毛のアン』(角川文庫)

著:モンゴメリ 訳:河合祥一郎

発売:2025年3月22日(土) 

定価:990円 (本体900円+税)

ISBN:9784041160084

発行:株式会社KADOKAWA

詳細ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322411000266/

◆著者プロフィール

モンゴメリ Lucy Maud Montgomery

1874年カナダ、プリンス・エドワード島生まれ。1908年に最初の長篇小説 Anne of Green Gables を出版。世界的ベストセラーとなる。日本では村岡花子による翻訳『赤毛のアン』として親しまれる。オンタリオ州に移り住み、その地で数々の作品を執筆した。1942年トロントにて逝去。

 

河合祥一郎(かわい・しょういちろう)

1960年生まれ。東京大学およびケンブリッジ大学より博士号を取得。現在、東京大学教授。著書に第23回サントリー学芸賞受賞の『ハムレットは太っていた!』(白水社)、『シェイクスピア 人生劇場の達人』(中公新書)など。角川文庫から、シェイクスピア作品の新訳のほか、「新訳 ドリトル先生」「新訳 ナルニア国物語」「ポー傑作選」シリーズ、『新訳 サロメ』『新訳 ドリアン・グレイの肖像』『不思議の国のアリス』などの翻訳を刊行。

Follow Twitter Facebook Feedly
SHARE
このページのURLとタイトルをコピー
お使いの端末ではこの機能に対応していません。
下のテキストボックスからコピーしてください。