第９回未来屋小説大賞に輝いたのは、朝井リョウ氏の『イン・ザ・メガチャーチ』

もっとこの本を読んでいたい…と思った私は、すでにこの本の中毒者かもしれない。

株式会社未来屋書店のプレスリリース

イオングループの株式会社未来屋書店（本社：千葉市美浜区、代表取締役社長：平川雅隆）は、2025年12月24日(水)、第９回未来屋小説大賞を発表し『イン・ザ・メガチャーチ』(著：朝井リョウ／日本経済新聞出版)が大賞に輝きました。未来屋小説大賞は、全国の未来屋書店で日々お客さまと向き合う書店員が、それぞれの読者視点・現場感覚を生かして今、一番売りたい本を選ぶオリジナルの書店賞です。

「本の力で、“未来”を変える一冊を。」そんな願いを込め選考しています。

受賞作『イン・ザ・メガチャーチ』は、読者の価値観や視点を一変させる“問いかけ”に満ちたエンターテインメント作品です。

選考に携わった書店員からは、以下のような声が寄せられました。

「世の中の見える景色が変わった瞬間、人生の物語はいつでも新たに始まる。もっとこの本に浸っていたい――私自身がすでにこの物語の“中毒者”になっていた。」

「“自分で選んだ日々”と信じていたものが、実は誰かに操られているのかもしれない。現実と物語の境目に、朝井氏は再び“はてな”を突きつけてきた。」

「今、“推し活”に夢中なあなたは――決して読んではいけない本です。」

　全国の未来屋書店・アシーネ店舗において12月末より未来屋小説大賞フェアを開催し、受賞作品を販売します。

※賞の詳細は公式ホームページからもご確認いただけます。

https://www.miraiyashoten.co.jp/news/miraiyanovelaward2025/

感覚の揺らぎと没入感、そして読後に残る強烈な問い――

本作は「読者の内面」が物語と共鳴する構造をもち、多くの書店員の“推薦”と“確信”に支えられて第９回大賞に輝きました。

■朝井リョウさん受賞コメント

　この小説で伝えたかったことは何ですか――その問いに笑顔で回答し難い本書にこんな立派な冠を頂けるなんて、本当に寝耳に水です。心からありがとうございます。

　完全に筆が離れた今思うのは、私はきっと、光の中に潜む闇と、闇の底で閃く光を、同じ地平に並べたかったのだと思います。是非、書店で手に取ってみてください。

★第９回未来屋小説大賞　受賞作品

イン・ザ・メガチャーチ作品紹介

　沈みゆく列島で、“界隈”は沸騰する――。

あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる３つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。

「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」

■著者プロフィール

朝井リョウ(あさいりょう)

　1989年、岐阜県生まれ。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。『何者』で直木賞、『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞、『正欲』で柴田錬三郎賞を受賞。ほかの著作に『スター』『そして誰もゆとらなくなった』『生殖記』など多数。

第９回未来屋小説大賞ランキング

大賞	『イン・ザ・メガチャーチ』	朝井リョウ	日本経済新聞出版
第2位	『問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』	早見和真	朝日新聞出版
第3位	『踊りつかれて』	塩田武士	文藝春秋
第4位	『ラバウルの迷宮』	鈴木智	河出書房新社
第5位	『失われた貌』	櫻田智也	新潮社
第6位	『ありか』	瀬尾まいこ	水鈴社
第7位	『星の教室』	髙田郁	角川春樹事務所
第8位	『今日未明』	辻堂ゆめ	徳間書店
第9位	『熟柿』	佐藤正午	KADOKAWA
第10位	世界99　上・下』	村田沙耶香	集英社

■過去の未来屋小説大賞　大賞受賞作品

第1回	『冬雷』	遠田潤子	東京創元社
第2回	『人間に向いてない』	黒澤いづみ	講談社
第3回	『月まで三キロ』	伊与原新	新潮社
第4回	『52ヘルツのクジラたち』	町田そのこ	中央公論新社
第5回	『花束は毒』	織守きょうや	文藝春秋
第6回	『ラブカは静かに弓を持つ』	安壇美緒	集英社
第7回	『リラの花咲くけものみち』	藤岡陽子	光文社
第8回	『カフネ』	阿部暁子	講談社