【アニメデータインサイトラボ年頭所感】データとアニメビジネス最前線からみた「2026年アニメ業界トレンド予測」

株式会社ブシロードのプレスリリース

株式会社ブシロード (本社:東京都中野区、代表取締役社長:木谷高明)のグループ分析組織にあたるアニメデータインサイトラボ代表 大貫佑介および湯通堂圭祐の年頭所感と2025年アニメのデータや現場感覚をもとにした「2026年アニメ業界トレンド予測」を発表いたします。

はじめに

2025年のアニメ業界は、大きな変化の年でした。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が圧倒的な強さで年間グランプリを獲得し、『タコピーの原罪』が幅広い層へ話題を広げました。一方で、初速は低調だった『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』が口コミで20倍以上に成長し、ダークホース賞を受賞するなど、「初速だけが全てではない」ことが明確になった年でした。

では、2026年はどうなるのか?

本記事では、エンタメデータ分析の専門家・湯通堂圭祐(株式会社SevenDayDreamers代表)と、エンタメビジネスプロデューサーの大貫佑介(株式会社ブシロードムーブ・ゲームビズ代表)が、それぞれの視点で2026年のトレンドを予測します。

エンタメデータアナリスト湯通堂が選ぶ
4つのトレンド(データ分析視点)

考察前提作品が増える

2025年は考察要素がある作品が話題になりました。『いいこと悪いこと(テレビドラマ)』『タコピーの原罪』といった作品では、SNS上で考察が盛り上がり、視聴者が増え続けました。データで見ると、こうした作品の維持率は高く、他作品を大きく上回りました。

これまではライトに視聴できる異世界系アニメがトレンドでしたが、徐々に考察作品は増え始めています。「いかにユーザーを巻き込み発信してもらうか?」が大事な現在のアニメ市場において、考察が盛り上がる作品は、広告費をかけなくても視聴者が増え続ける構造です。2026年は、こうした作品がさらに増えるでしょう。

90年代〜2000年代アニメのリメイクが増える

2025年、『地獄先生ぬ〜べ〜』『キャッツ♥アイ』『YAIBA』といった90年代〜2000年代作品のリメイクが話題になりました。これらの作品が成立する背景には、『30-40代の購買力』×『配信環境の整備』という構造があります。

かつてアニメを見ていた世代が消費者として成熟し、購買力を持つようになりました。加えて、配信プラットフォームの充実により、リアルタイム視聴以外でも作品を楽しめる環境が整いました。

2026年は、この流れがさらに加速します。既に『魔法騎士レイアース』『ハイスクール!奇面組』といった作品のリメイクが発表されており、90年代後半〜2000年代前半の作品が続々と復活するでしょう。

楽曲を軸に広がる作品が増える

2025年、楽曲や映像がきっかけでアニメが発見される現象が加速しました。『転生おじさん』の「マツケンサンバ」、『野原ひろし 昼メシの流儀』、『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』などが代表例です。従来は「アニメが人気 → 楽曲が注目される」でしたが、今は「楽曲が拡散 → アニメが発見される」に逆転しています。

注目すべきは、バズの経路が二極化している点です。

ニコニコ動画発X行きのバズ: 30代以降の男性層を中心に、考察や感想を文字ベースで共有。『野原ひろし 昼メシの流儀』『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』がこのパターンです。

TikTok発YouTube行きのバズ: 10〜20代の女性層を中心に、印象的なシーンやダンス、音楽の切り抜き動画が拡散。『えぶりでいホスト』『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』がこのパターンです。

特にTikTok型のバズでは、『見たいシーン』を起点とした一気見視聴が加速しています。2026年は、この流れがさらに加速するでしょう。

放送中7週目以降に伸びる作品が増える

2025年、もっとも印象的だったのは『銀河特急ミルキー☆サブウェイ』です。初速は270作品中で下位クラスでしたが、YouTube全話公開+ショート形式で2025年を代表するアニメとなりました。

『羅小黒戦記』も同様に、初速は圏外だったのに、8週目に維持率400%を記録。劇場版2公開というトリガーがありました。『えぶりでいホスト』は、楽曲がTikTokでバズり、一気に拡散しました。

これら3作品の共通点は、配信プラットフォームや外部トリガーを活用した拡散です。『えぶりでいホスト』『銀河特急ミルキー☆サブウェイ』は前述のTikTok型バズで、印象的なシーンや楽曲が話題になり視聴者を集めました。『羅小黒戦記』は劇場版公開という別のトリガーでしたが、いずれも配信環境の充実が後伸びを支えています。こうしたダークホース作品は2026年にも出るでしょう。

エンタメビジネスプロデューサー大貫が選ぶ
4つのトレンド(マーケティング・現場視点)

2期や3期、過去の名作のリメイクの発表が増える!

アニメデータインサイトラボでも毎クールたくさんの作品を紹介していますが、どんどんアニメ化が出来る原作が枯渇しています。

一方でアニメビジネスへの参入企業が増えていて、国家的な戦略も後押しし、日本のアニメの世界出荷が増えると予想されます。そうすると、「アニメ化をするために」原作がどんどん必要になります。

企業はアニメ化に際して「何万PV読まれた」とか「原作がどれくらい売れた」という情報をもとにアニメ化の企画を通します。「わかりやすい実績がある原作」ばかりアニメ化していくので、そういった原作は枯渇していきます。そうなると、売上や予算に対するプレッシャーは制作現場にも強くのしかかります。アニメプロデューサーにとって、アニメ化そのものが売上創出の起点である以上、企画を成立させる必要性は年々高まっているのが実情です。

そこで、「過去にある程度実績があったもの」が再注目されるでしょう。

「オリジナル原作が増えるのでは?」という見方もあると思いますし、その通りです。

ですが、残念ながら人間は「得体のしれない新規コンテンツ」より「過去の実績があったコンテンツ」を信用する傾向がある生き物です。オリジナルの企画よりも「わかりやすい実績の作品」のほうが圧倒的に企画が通ります。その人間のアルゴリズムの産物として、オリジナルより続編やリメイクが増えるわけです。

この流れは2026年は序章にすぎず、今後2~3年は続くでしょう。こちらを読んで頂いているビジネスパーソンの皆様なら容易に想像がつくかと思いますが、会社が本格参入しはじめた分野は簡単に撤退とはなりません。

余談ですが、「原作なんてまだまだいっぱいあるじゃん」と思われる方も多いかと思いますが、今アニメ化出来るのは海外市場で評価される(海外の配信サイトで高く購入される)作品です。一時期の日本のアニメにて、DVDが売れる作品が主流だったように、商売のトレンドに合わせてアニメ化する作品は変わっていきます。

個人的には、海外市場で評価されやすい作品以外も持続的にビジネス化できる仕組みを構築していきたいと考えています。そうすれば、アニメ化のアルゴリズムに新しい流れが生まれ、結果として新作オリジナル作品の創出にもつながるのではないでしょうか。

「アニメ」よりも「現実」が「コンテンツとして成立」してしまう

「現実が面白すぎるんだよ!最近!!」

昨年、当グループのブシロード代表である木谷が私と宣伝に関して議論をしていた際に発した言葉です。正確にはこのあとに「面白い現実が手軽かつ大量に供給される時代においては、中途半端なアニメコンテンツでは話題性の競争に勝てない」という趣旨のコメントが続いたのですが、この「現実が面白すぎる」と「手軽に大量に供給される」は私の中で日々うっすらと考えていたことがピンポイントに言語化されており、とても気持ちよく印象に残っています。

苦労して制作し、話題化を考えたアニメの情報解禁や宣伝施策よりも、政治、有名人・一般人の不祥事、SNS上での珍事のほうがトレンドに上がる昨今。

テレビなどのマスメディアの報道、SNS上のトレンド、天候の話題などありとあらゆるものがメディアミックスされており、「現実そのものがコンテンツ化」していると言えるでしょう。

現実のコンテンツ化で、一番わかりやすいのが「リアリティ系コンテンツ」の流行・拡大です。配信プラットフォームでも再生数などを見る限り伸びてきており、アニメ業界全体としては競合が増えてしまうことになります。

そもそも、国内をビジネスのメインターゲットに据えていない今のアニメ業界が国内で苦戦するのはある意味で必然と言えます。今後、国内アニメはより「コンテンツ化した現実」やその延長上にある「リアリティ系コンテンツ」と戦うことになっていくでしょう。

アニメ業界で仕事をしている立場として、理想と現実のギャップを痛感する場面も少なくありません。

若者のアニメ離れ(みたいなこという人が出てくる)

「若者のアニメ離れ」と言うと、若年層への憂いと捉えられるかもしれませんが、個人的には、国内において明確なアニメブームが起きているわけではなく、若年層がアニメから離れているとは考えていません。

実際には、好きな人は変わらずアニメを視聴しており、アニメは今後も安定的に支持され続けるでしょう。ただ、今後「若者のアニメ離れ」という言説が生まれてくる可能性があり、アニメ業界内でもその旨を発言する方が増えてくるかもしれません。

冒頭にて軽く触れましたが、現在アニメ化されている作品群は、転生、成り上がり、バトルといった、比較的似通ったジャンルに集中しています。これらは国内向けではなく、主に海外市場を意識したビジネスとして成立しており、日本国内向けのみでは収益化が難しいケースが多いのが実情です。

現行の日本アニメでは、制作費の7割以上、場合によっては8割以上を海外配信プラットフォームの売上が占めていることも珍しくありません。その結果、海外向けとされるアニメが数多く制作されました。そんな海外向け作品が日本でも放送され、「アニメブームが起きているように見える」状況が生まれていました。「鬼滅の刃」などもこの流れとみています。

若年層がアニメから離れたというよりも、供給量が増え、似た構造の作品が多くなったことで、視聴者が飽和感を覚え始めている、というのが実情ではないでしょうか。

こうした状況を表層的に捉え、国内の視聴が落ちてきたことや、一部の同じようなものをばっかりで飽きたという事象を組み合わせて「若者のアニメ離れ」という言説が生まれてくる可能性は高いと考えています。

個人的には、国内市場でも持続的に成立するビジネスモデルを構築していきたいと考えています。同時に、海外市場において”アニメ離れ”が生じず、人気が継続することを願っています。

冒頭に見せ場がMAXな切り抜きや広告が増えていく

アニメの宣伝プロデューサーをしていて、最近手ごたえがある広告のクリエイティブはほとんど「冒頭がセンセーショナル」と言える賛否両論で「議論を呼ぶ」ものです。

SNSなどで情報が多く出回る現代では、コンテンツはすぐに飽きられてしまいます。一瞬で目を奪い時間を奪えるものにどんどん特化しており、その流れはさらに加速すると考えています。

アニメ宣伝を行っていても、効果があるクリエイティブはだいたい議論を呼ぶものか冒頭がクライマックスのもの。あとはその作品を最も象徴するシーンのある場面です。

ネタバレを気にするのは主に既存ファンであり、新規層を獲得するためには、ある程度の「クライマックスのダイジェスト化」は避けられません。皆様も身に覚えがあるかと思いますが、「この先面白くなるか分からないコンテンツ」を長時間かけてみることは難しくなってきていないでしょうか。

私自身、新しいアニメと昔のアニメを視聴する際の心理的ハードルの差を感じることも多いです。この消費行動の変化に自分自身も適応していることに、強い実感と戦慄を覚えます。

この流れを止めることができるのか、それとも新たな表現の最適解として受け入れていくべきなのか。 2026年以降のアニメ業界において、重要な問いになっていくと考えています。

まとめ

データアナリストとマーケターが選んだ、合計8つのトレンド予測。

湯通堂からは「考察前提」「ノスタルジー」「楽曲軸」「後伸び型」というデータから見える構造変化を指摘しました。

大貫からは「原作枯渇」「現実のコンテンツ化」「若者のアニメ離れ」「センセーショナルな広告」という現場の肌感覚から、業界構造の変化を語りました。

両者に共通するのは、「初速依存からの脱却」「長期的な視聴者関係の重視」という方向性です。2026年のアニメ業界は、短期的な話題性だけでなく、コアファンとの深い関係性を築く方向にシフトしていくでしょう。

本リリースで述べた一連のトレンド予測は、あくまで現時点でのデータや現場感覚をもとにした仮説です。その妥当性についての「答え合わせ」が行われるのは、2026年末になるでしょう。

アニメ業界を取り巻く環境は、技術進化や市場構造の変化、そして視聴者の行動変容によって、想定以上のスピードで変わり続けています。その中で重要なのは、予測を語ること自体ではなく、時間をかけて検証し、次の意思決定にどう活かしていくかであると考えています。

アニメデータインサイトラボでは、今後も継続的にデータと現場の声をもとに分析を行い、今回の予測がどのような結果に結びついたのかを検証していく予定です。2026年末、改めてこの予測を振り返ることが、次のアニメビジネスのヒントにつながることを期待しています。

2026年が皆様にとって希望と飛躍に満ちた素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

【プロフィール】
株式会社SevenDayDreamers
湯通堂 圭祐
株式会社マクロミルでデータサイエンティストとして複数の新規事業を立ち上げ、その後、FiNC Technologiesにてデータ分析、グロースハック、プロダクト開発、経営企画、人事の責任者を歴任。現在は、株式会社SevenDayDreamersを創業し、データとAIを活用してコンテンツIPの価値最大化に取り組む。

アニメデータインサイトラボ
代表:大貫 佑介
コンテンツ・IPビジネスプロデューサー。 株式会社ブシロードメディアコンテンツユニット副ユニット長、株式会社ブシロードムーブ代表取締役社長、株式会社ゲームビズ代表取締役社長、新日本プロレスリング株式会社の社外取締役も務める。ブシロードグループ内でアニメ・ゲーム・音楽のメディアミックス展開を統括している。

©️Anime Data Insight Lab

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