まだ誰も読んだことのない「425.5話」をロボットアームの遠隔操作で描きおろす ─ JAXAの「きぼう」有償利用制度を活用 ─
株式会社講談社のプレスリリース
株式会社講談社(本社:東京都文京区)は、宇宙で漫画を描く人類初の試み「Mission: SPACE COMIC」(ミッション:スペースコミック)への挑戦を発表いたします。本ミッションは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)が提供する国際宇宙ステーション(以下「ISS」)の「きぼう」日本実験棟を利用するきぼう有償利用制度(*1)を活用し、「きぼう」日本実験棟内に搭載されたロボットアームで宇宙空間における遠隔描画の実証に挑みます。民間企業やエンジニア、クリエイターの知見を結集し、表現と宇宙技術の新たな可能性を切り拓く、前例のない取り組みです。
Mission: SPACE COMIC URL:https://morning.kodansha.co.jp/spacecomic/
宇宙界に多大なる影響を与え、19年間多くのファンに愛されてきた『宇宙兄弟』にしかできない企画として、「宇宙で描く漫画」に挑戦します。漫画の内容は、本編で語られなかった425話と426話の間の425.5話の物語となります。ISSの「きぼう」日本実験棟内に設置されたロボットアームを地上から操作し、宇宙空間の微小重力環境下で描画を行います。
(*1)きぼう有償利用制度(非定型サービス): https://humans-in-space.jaxa.jp/kibouser/provide/more/
■ 「Mission: SPACE COMIC」概要
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名称 |
Mission: SPACE COMIC |
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参画企業 |
講談社(出版社)、コルク(クリエイティブエージェンシー)、セルシス(ソフトウェア開発)、スペースエントリー/メノー/インテリジェント・ロボット・テクノロジー(ロボティクス開発・運用利用・試験提供)、TBWA HAKUHODO(企画・制作)、東京アドデザイナース/博報堂プロダクツ/コントラスト(グラフィック)、Y’s(映像制作)、Sketch(PR) |
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協力 |
三井物産エアロスペース |
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実施場所 |
国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟 (JAXAきぼう有償利用制度を活用) |
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描画手法 |
ISS「きぼう」日本実験棟内にあるロボットアームの遠隔操作による描画 |
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漫画内容 |
『宇宙兄弟』本編で語られなかった「425.5話」 |
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公開予定 |
『宇宙兄弟』最終46巻 発売日:2026年7月22日(水) |
・描画プロセス
本ミッションでは、次のプロセスにより宇宙での漫画制作を実現します。まず、小山宙哉先生が地上で漫画を描く際の手の動きをデータ化します。そのデータをISS「きぼう」日本実験棟内に設置されたロボットアームに伝送し、紙面上で再現します。
・ロボットアームの制御ソフトウェア「ヴェロッキオ」
ロボットアームの制御ソフトウェアの名称「ヴェロッキオ」は、『宇宙兄弟』34巻に登場する遠隔操作ロボット「ダヴィンチ」にちなんで名付けられました。作中で「ダヴィンチ」が活躍するのは2029年。今回の2026年のミッションで得られる技術や知見が、その未来へとつながっていってほしいという願いを込めて、レオナルド・ダ・ヴィンチの師であるアンドレア・デル・ヴェロッキオの名から命名しました。
プロジェクトメンバーコメント
スペースエントリー株式会社 宇宙事業開発部 後藤孝之
私たちが今回用いるISS「きぼう」日本実験棟内にあるロボットアームは、宇宙実験の自動化・遠隔化を見据えた実証データを取得する目的で、JAXAによって2025年に打ち上げられた新しい機械です。今回はそれを利用した初の商業ミッションで「漫画を描く」という繊細な作業に挑戦します。このテーマは、微小重力下で線を再現する一見単純な内容に思えますが、時間制限や打ち上げ重量、強度・難燃対策、対流のない環境での発熱やインクの揮発対策など、地上とは異なる多くの制約の中で作業再現性を検証する実証的な試みも含まれています。ここで得られた知見や課題は、弊社の今後の自動化・遠隔化に向けた取り組みに活用し、日本の将来の宇宙産業の発展へと還元・貢献していきます。そして、『宇宙兄弟』の本編と時間軸が重なるかけがえのない時期に、本ミッションに携われたこと、大変誇りに思います。
メノー株式会社 代表取締役 根本雅人
メノーは、ロボットアームの制御ソフトウェアと動作プログラミングを担当しています。漫画の描画は、直線や曲線、強弱のある筆圧など、非常に繊細で複雑な動きの連続です。微小重力という地上とはまったく異なる環境下、多くの制約の中でこの精密な動作を再現するために、何度もシミュレーションと調整を重ねてきました。今回のミッションで得られるデータは、今後の極限環境における遠隔精密作業の基盤になると確信しています。『宇宙兄弟』のファンの皆さまにも、技術の裏側にあるチャレンジを感じていただければ嬉しいです。
株式会社セルシス アプリ開発部 部長 小田直矢
今回のミッションでは、小山宙哉先生が日頃の執筆にもお使いいただいている、セルシスのマンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」で描かれた筆跡データを、宇宙のロボットアームへ正確に伝送するプロセスを技術面から支援しています。「人の手が描いた線を、宇宙で忠実に再現する」というこの前例のない挑戦は、デジタル作画技術の新たな可能性を切り拓くものと考えています。クリエイティブとテクノロジーの融合が宇宙にまで広がるこの瞬間に携われることを、大変光栄に思います。
『宇宙兄弟』作者 小山宙哉
初めてこのお話を伺ったとき、作中に登場する遠隔操作ロボット「ダヴィンチ」みたいだ、と驚きました。近未来の夢として漫画に描いていた技術が現実になり、宇宙でペンを持って漫画を描いてくれるなんて、本当にうれしく思います。宇宙の物語を締めくくるものとして、まさに『宇宙兄弟』らしいミッションなのではないでしょうか。フィクションが現実になるその瞬間を、ぜひ皆さんと一緒に共有したいです。そして、本編の余白をつなぐ特別な一話「425.5話」も、楽しんでもらえたら幸いです。
■『宇宙兄弟』について
『宇宙兄弟』は、小山宙哉氏による漫画作品。2007年より講談社『モーニング』にて連載開始。宇宙飛行士を目指す兄弟・南波六太(ムッタ)と南波日々人(ヒビト)の物語を描き、2011年には第56回小学館漫画賞(一般向け部門)および第35回講談社漫画賞(一般部門)をダブル受賞。累計発行部数は3,500万部を超え、アニメ化・実写映画化もされた大ヒット作品です。2026年6月に約19年の連載に幕を下ろし、同年7月に最終巻となる第46巻が発売予定です。