慶應義塾大学 井庭崇研究室、研究成果をもとに制作した漫画『探究のしかたがわかる! 異世界探究』を7月14日から順次公開
慶應義塾大学 井庭崇研究室のプレスリリース
慶應義塾大学 井庭崇研究室(代表:総合政策学部教授 井庭崇)は、研究を通じて体系化・言語化した「探究」の実践知を物語に組み込み、主人公たちとともに探究のプロセスを疑似体験できる漫画『探究のしかたがわかる! 異世界探究』を制作しました。
原作(ストーリー)を井庭崇が、作画を制作当時井庭研究室に所属していた学生VIVIが担当しました。全8話のうち、前半4話を2026年7月14日(火)から、後半4話を7月21日(火)から、KADOKAWAの漫画サイト「カドコミ」および漫画アプリ「カドコミアプリ」で無料公開します。
本作は、異世界ファンタジーの物語を楽しみながら、高等学校の「総合的な探究の時間」などで取り組む「探究」の進め方をつかめる漫画です。課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・発表、振り返りという一連のプロセスを、登場人物の迷いや試行錯誤とともに描き、読者が自分の探究に活かせる考え方や行動のヒントを得られる構成としています。
▼作品ページを見る(カドコミ)
https://comic-walker.com/detail/KC_016985_S
本作の特徴
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高校生の探究活動を支える実践知を言語化・体系化した研究成果「探究パターン」を、異世界ファンタジーの物語に組み込みました。
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知識を説明するだけでなく、登場人物の実践上の試行錯誤を読者が疑似体験できる「実践発想ストーリー」として制作しました。
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各話末に作中で登場した「探究スキルカード」を掲載し、物語のなかで知った実践のポイントを、現実の探究活動に活かしやすい構成としました。
研究成果「探究パターン」が、物語の「探究スキルカード」に
高校の「総合的な探究の時間」などで初めて探究に取り組む高校生は、「どうやってテーマを考えればよいのか」「どのように進めればよいのか」と戸惑うことがあります。探究では、問いや進め方があらかじめ一つに定まっているわけではなく、状況に応じて考えながら進める必要があるためです。
井庭崇教授らは、先進的な探究活動に取り組む高校の教員・生徒へのインタビューをもとに、よい探究を行うための実践上の工夫を抽出し、36のヒントからなる「探究パターン」(提供:株式会社クリエイティブシフト, https://creativeshift.co.jp/product/2344/ )として言語化・体系化しました。これは、実践知を言語化する「パターン・ランゲージ」の方法を、探究活動の支援に応用した研究成果です。
本作に登場する「探究スキルカード」は、この「探究パターン・カード」を原型としています。主人公たちが探究の途中で壁にぶつかると、その場面に応じたカードが現れ、何を考え、どのように行動するかを示します。今回の配信では、各話の終わりに、物語中で登場したカードを再掲し、読者が自分自身の探究活動に応用しやすい構成としました。
知識の解説にとどまらない「実践発想ストーリー」
井庭崇研究室では、人がよりよい実践に取り組むことを後押しする物語を「実践発想ストーリー」(Practice-Inspiring Story)と名づけ、研究しています。実践発想ストーリーは、実践の方法を知識として説明するだけではありません。登場人物が迷い、考え、周囲と対話し、実際に行動する過程を描くことで、読者がその経験を疑似体験し、「自分でも試してみよう」と思うきっかけをつくることを目指します。
作品のあらすじ
高校生のケント(賢斗)は、ある日の放課後、突然意識を失う。目を覚ますと、そこには彼を召喚した女神がいた。
女神から告げられた使命は、「世界を救う探究者になれ」というものだった。
元の世界へ帰るためには、超難関の「探究者試験」に合格しなければならない。女神がケントに授けたのは、探究のしかたを示す不思議なアイテム「探究スキルカード」だった。
異世界へと送り出されたケントは、そこで出会ったクラフト、ティアとチームを結成する。三人は、課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・発表、振り返りという探究活動に挑んでいく。
何を考え、どう動けばよいのか。迷うたびに、「探究スキルカード」が次の一歩を示してくれる。
果たしてケントたちは、試行錯誤の先に答えを見つけ、探究者試験を突破できるのか。そして、世界を救い、元の世界へ帰ることができるのか——。
先行閲覧した高校生から寄せられた感想
制作過程で、2025年11月に公立高校の高校生約300人に第1話から第3話を先行閲覧してもらい、自由記述による感想を得ました。以下は、その一部を抜粋し、原意を損なわない範囲で表記を整えたものです。
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漫画なので、苦手意識を持つことなく、探究とはどういうもので、どのように行うのかを知れて、とてもよかった。
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探究に対して、とても不安だったが、とてもわかりやすくて、自分にもできるかもしれない!と思った。
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探究を進めていく様子を、同じ目線で見ることができて、すごく面白かった。
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自分のように、探究をやったことがない主人公が探究を進めていくストーリーなので、共感できるところが多い。
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自分の経験のように感じられ、一緒に「謎」を解き明かしていくようで楽しかった。
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「探究」のイメージが大きく変わる漫画だった。
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この漫画を読むことで、「やらされている退屈な探究」が「自分がやりたいからやる面白い探究」にできると思った。
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探究というとすごく難しくて、かた苦しいイメージがあったけど、漫画やカードのおかげで、自分でも始められそうだという希望が持てた。
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探究活動についての理解が深まり、早く自分も探究したいと思った。
今後の展開
井庭研究室では、学校現場での活用支援、教員・生徒向けの講演・ワークショップ、読者調査などを通じて、本作の教育現場での導入・活用を支援するとともに、物語を介して実践を支援する方法の研究・制作に引き続き取り組みます。
「異世界探究【公式】」note
本作に関する最新情報、制作の背景、関連イベントなどを、情報発信プラットフォーム「note」で発信します。アドレス:https://note.com/isekaitankyu
作品情報
作品名:『探究のしかたがわかる! 異世界探究』
原作:井庭 崇
作画:VIVI
企画・プロデュース:井庭 崇
話数:全8話
配信媒体:漫画サイト「カドコミ」・漫画アプリ「カドコミアプリ」(KADOKAWA)
配信ページ:https://comic-walker.com/detail/KC_016985_S
配信スケジュール:
第1話~第4話:2026年7月14日(火)公開
第5話~第8話:2026年7月21日(火)公開
閲覧料金:無料
無料公開期間:現在、終了日は設定していません
会員登録:不要
※配信日・配信内容は予告なく変更となる場合があります。
作者情報
井庭 崇(いば たかし)
慶應義塾大学総合政策学部教授、博士(政策・メディア)。
専門は、創造実践学、パターン・ランゲージ、および、研究と創造の方法論。探究活動を支える「探究パターン」や、人の実践を後押しする「実践発想ストーリー」などの研究・制作に取り組んでいる。著書に『クリエイティブ・ラーニング:創造社会の学びと教育』、『ジェネレーター:学びと活動の生成』、『対話のことば』、『プレゼンテーション・パターン』、『パターン・ランゲージ』など多数。(Xアカウント:https://x.com/takashiiba)
VIVI(ビビ)
本作品の作画を担当。制作当時は井庭研究室に所属しており、2026年3月に慶應義塾大学総合政策学部卒業。
関連する研究論文
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Takashi Iba, Sae Adachi, Mizuki Ota, Urara Tajima, Hiroaki Tanaka, “Pattern Manga: Attractively Expressing Patterns of a Pattern Language in Manga Style.” In the PLoP ‘23: Proceedings of the 30th Conference on Pattern Languages of Programs, 2023. https://plopcon.org/proceedings/plop/2023/10.html
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Takashi Iba, Urara Tajima, Elly Shimamura, Mikoto Odaira. “Practice-Inspiring Stories: A New Genre of Narrative that Inspires Audiences to Engage in Good Practices”. In HILLSIDE 11th Proceedings of Asian Conference on Pattern Languages of Programs, People, and Practices, Taichung, Taiwan, 2025. https://plopcon.org/proceedings/asianplop/2025/papers/s4.pdf
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Takashi Iba, Miho Masai, Yuri Abe, “Inquiry-based Learning Patterns: A Pattern Language for Creative Inquiry,” presented at the Traveling Pattern Conference (VikingPLoP 2026), Lapland, Finland, April 9–12, 2026.
本件に関するお問い合わせ先
慶應義塾大学 井庭崇研究室「異世界探究」プロジェクト
代表:慶應義塾大学総合政策学部教授 井庭崇
E-mail:isekai@sfc.keio.ac.jp
慶應義塾大学 井庭崇研究室「異世界探究」プロジェクト
代表:慶應義塾大学総合政策学部教授 井庭崇
E-mail:isekai@sfc.keio.ac.jp