株式会社丸善ジュンク堂書店のプレスリリース
株式会社丸善ジュンク堂書店は、6月にお客様を対象に実施した【読書環境に関するアンケート調査】(※1)の「約70%が読書の時間を増やしたい」の結果を受けて「読書の質を上げることで実質的に読書時間を増やせるのではないか」という仮説をたて、集中を科学するワークスペース「Think Lab(シンク・ラボ)」と共同で、読書家のために快適な環境を提供するプロジェクトをスタートしました。
質を上げるためには集中して読書に向き合える環境が重要であると考え、プロジェクトの第1弾として、「Think Lab 飯田橋」を舞台に、「快適な環境を用意する」「時間を予約する」ことで読書の質がどのように変化するのかを検証する読書体験会を実施し、参加者へのアンケート調査をの結果、90%以上の方が質の高い読書が出来たと回答。その要因についても検証を行いましたので発表させていただきます。
今後は、参加いただいた方のアンケート・ヒアリングの回答、その他のデータも参考にしながら読書時間の質を向上するための研究、サービスの開発に取り組んでいきたいと考えております。
調査結果のサマリー
・ 1dayコースの95%の人、 1monthコースの92%の人が、質の高い読書ができたとなった。 |
「集中のためのワークスペース「Think Lab 飯田橋」を舞台に、「快適な環境を用意する」「時間を予約する」ことで読書の質がどのように変化するのかを検証するべく読書体験会を実施しました。体験に参加いただいた方へ「快適な読書空間」の要因と読書環境へのニーズをアンケート調査と聞き取り調査を行った。
読書体験会@ThinkLab 概要
・応募方法 快適な空間の提供(ThinkLabの特徴) |
【読書体験会@ThinkLab 1day体験後アンケート結果】
普段の読書と比較して充実した読書時間になりましたか?【1day体験参加者】
1dayコースの95%の人が、質の高い読書ができたと回答
明るさについて感じたことをチェックしてください【1day体験参加者】
音について感じたことをチェックしてください【1day体験参加者】
匂いについて感じたことをチェックしてください
気に入った姿勢はどの姿勢でしたか?
香りに対してネガティブな回答は2%(75%が好意的にとらえている)のに対して、「明るさ」は明るすぎる(15%)、暗すぎる(17%)という、同じ環境で両極の反応があり、「温度」や「音」も同様の現象がみられる。
実験場所には、体勢が異なる4種類の椅子を用意したが、好ましいと思う「姿勢」は個人差が大きいことが見て取れた。改善点はどこか?という設問への個別のコメントでも、「音」と「姿勢」に関するコメントが多く寄せられた。
読書に集中できる施設があったら利用したいですか?【1day体験参加者】
家族構成を教えてください【1day体験参加者】
読書に集中できる施設がどんな立地にあったら利用したいですか? 【1day体験参加者】
(読書集中スペースを)どのくらいのペースで利用したいですか?
1day体験の参加者の99%が、読書に集中できるスペースがあれば、利用したいと答えた。参加者の家族構成への問と重ねると、40%が一人暮らしであり、自宅での読書が可能だと推察されるが、別途スペースの利用意欲があることは注目すべきデータだと考えられる。また、読書スペースの利用頻度に関する問いには、週に83%の参加者が、週1回以上利用したいと答えた。立地に関する問いと合わせると、「自宅に近い場所」で、日常的に利用できる読書スペースのニーズは高いと考えられる。
【読書体験会@ThinkLab 1month体験後アンケート結果】
1か月の利用回数【1month体験参加者】
利用曜日【1month体験参加者】
入館時間【1month体験参加者】
1monthの利用者のうち、70%以上が複数回利用し、平均利用回数は1か月で約12回。中には、30日中、25日利用頂いたケースもあった。
1回あたりの利用時間は1時間半~4時間程度で、個人差や利用した日によらず見られる傾向の為、集中力を保って読書をする限界は4時間程度ではないかと推測できる。
平日の利用が、70%を占め、18時以降の入館が40%と終業時間後に利用するケースが多く観察できた。
調査に対する分析と見解
㈱丸善ジュンク堂書店 経営企画部部長 工藤淳也 今回はThinkLabという環境で実験を行いましたが、「読書」のためのスペースということでは90%以上の方が“質の高い読書が出来た。”と回答いただいており、「快適な空間」「時間の予約」という要素は、読書家に対して価値を提供できることがわかりました。一方で、アンケートやヒヤリング調査の結果から、音や明るさなどは個人差があり、好みに合わせて調整ができる方がより集中した読書につなげられると感じました。また、緊張感のある集中空間ではゆったりと小説を読む気分にはなれなかったというご意見もあり、今後研究する中では、ジャンル・コンテンツによってアプローチの違う空間を設計する必要があると感じられました。今回、こういった環境を用意することで、「施設利用時ならず普段の生活の中での書籍への接し方が変わった。」「今回の体験以降も継続して集中して読書をすることができるようになった。」とのご意見も複数の方からいただき、書店として本を読む環境に対してアプローチするこの取り組みに対して、方向性が間違っていないと確信することができました。 また、読書家は読書のスペースを高頻度で利用したいと考えており、そこに対する支出はいとわないと考えていることがわかりました。この点には、丸善ジュンク堂書店としてもビジネスチャンスにつながるのではないかと考えています。 今回の結果をヒントとして、今後も継続して「読書の質を高める環境」を研究していき、顧客の皆様の読書体験の価値向上に貢献していきたいと考えております。 |
参考
【読書環境に関するアンケート調査】※1https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000027516.html